21世紀の日本

2.近代化と現状

2 近代化と現状 (1) (2) (3)-本質追求からの考察と提言-

(1)近代化の本質

1760年代に起こった産業革命によって、工業品の増産、農業の技術革新が進み、小作農民が都会に追いやられて賃金労働者となり、製品を外国に売りつけて利益を上げようとする流れが生じ、アングロサクソンの英国を筆頭にコーカソイドの国々が軍事力を競って帝国主義国家となり、北米・中米・南米・アジア・オセアニア・アフリカで侵略・略奪・先住民抹殺を繰り返し、容赦ない奴隷狩りを行い、植民地・租借地を作った。

欧州の勢力争い・植民地争奪・独立抗争が頻発して戦局が拡大し、米・ソ・日が加わって二度の大戦に至り、東西冷戦、核拡散、宗教・民族対立、温暖化・気候変動、不況と、世界は不安定な情勢に揺れ続けている。  

近代史は、『先進国』が軍事力(国家暴力)と経済力を以て、有無を言わさずに後進国を搾取し、最近まで行われた奴隷制に見られるように、人の尊厳を傷つけてきた歴史である。・・・これが近代化の本質である。

 

極東の島国が黒船来航から僅か15年で維新をなし遂げ、欧米の制度を取り入れ、繊維輸出と製鉄や造船等の重工業振興を図り、軍事力を増強し、『植民地にされない唯一の道』:国の自衛と自立を目指した。

資源を求めた大陸進出途上で日露戦争に至り、予期せぬ勝利を得て、資源と市場ルートの拡大を進めたが、欧・米の締め付けに危機感を募らせて戦端を開いてしまい、圧倒的な力で叩きのめされ、祖国は焦土と化した。

戦後は米国に追随して朝鮮戦争特需で儲け、高度成長を目指して経済大国になり、生活は便利になったが、国民は幸せや安心が得られず、バブルの後に襲ってきた不況・失業・デフレ・財政難で立ち往生している。

維新以来、政治家や官僚など上位者の犯罪や欺瞞が繰り返されて『信』が失われ、膨張しきった人口と経済が急な収縮を始め、初めて経験する超高齢社会に方向を見失っている。・・・これが日本近代化の本質である。

 

 

(2)20世紀はどんな時代だったのか

産業革命以後の科学(Science)技術の進歩は加速度を増し、20世紀に入ると食糧・燃料・工業品の生産増大で産業が急激に拡大し、自動車量産、船舶と航空機の大型化・高速化によってヒトとモノの移動が大きくなり、この100年間の人類の活動総量が一気に膨張して、現生人類出現から19世紀末までの15万年間(最近の説)より多く、気候変動と多くの生物種絶滅は、ヒトの活動の影響であるとの警告が発せられた。

 

世 界は、人口爆発・経済競争・環境破壊によって、飢餓、紛争、テロ、貧富格差、新種の病気、が広がり、日本は、政治家・官僚の犯罪のみならず、警察・学者・ 医者・教育者・宗教家など信頼がおける筈の『上位者』の不正や欺瞞が引き起こした『自分さえよければ症候群』『カネがすべて病』が蔓延し、膨大な財政赤字 と出口の見えない不況に慄き、少子高齢社会突入、イジメ、3万人余の自殺者、等々で閉塞感に覆われている。

 

 

(3)世界の人口爆発と日本の人口収縮

20世紀は農業・畜産・漁業の進歩で食糧が行きわたり、出産数が伸びて幼少期の死亡が減り『人口爆発』=現生人類Homo・sapiens・sapiens の異常繁殖が起こり、世界人口は一気に約4倍の60億強に膨らんだ。

約69億(2010年)の現状でも既に8億人が飢えているという地球上で、さらに人口膨張が続き、中国に次いでインドやアフリカ等で増え続けて2100年に100億を超すとの予測もあり、食糧不足、気候変動、深刻な環境悪化を引き起こし、それに絡む暴動・内乱・戦争などで人類の存続が脅かされるおそれがある。

 

日本はこれからの100年間に100年前の人口(現在の約4割)まで減り続ける人口収縮に入ったと見られ、人類が初めて経験する超少子高齢社会に突入した。 人口・年齢構成の急変は、国や社会及び個人の生き方を大きく変えるもので、人口動態を考えずに政治・経済・生活を考えると本質から逸れてしまい、危険である。

 

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【1925~2000年は統計値。その他は出生・死亡=中位推計による推測値。指数は1900年を100とした比】

 

2 近代化と現状(4)-本質追求からの考察と提言-

4)21世紀に求められる生き方 

【信じてきた根拠の揺らぎ】  

20世紀後半から21世 紀初頭にかけてコンピューター・電波望遠鏡・電子顕微鏡を駆使した宇宙・物質・生命の解明が進み、分子生物学が急激に進展し、最新の遺伝子解析から、『生 物はみな、祖先を同じにする兄弟』即ち「人類は進化の中で誕生した」という進化論が、疑いようのない事実として証明された。

これは20万 人の信徒を擁し、世界に強い影響を及ぼしているキリスト教の原典である旧約聖書(創世記)の「神は御自分にかたどって人を創造された。・・神は彼らを祝福 して言われた。・・海の魚、空の鳥、地の上を這う生き物すべてを支配せよ」の対極にあり、人は神に造られた特別な存在ではないと断定したのである。

さらに、20世紀以降のヒトの活動によって、気候変動が現れ、絶滅する生物種が急速に増え、人類は一歩一歩存続の瀬戸際に向かっているとの警告を受け、生き方について本質的な見直しを迫られている。

 

 

食糧問題、気候変動、世界不況、貧富格差は、人類が頼りにしてきた『文明』では生命の存続が危うく、先進国が信奉した『新自由主義』『資本主義・市場原理主義』では社会が機能不全に陥ることを明確に示した。

地 球の盟主としてのヒトの根拠、人類が求めてきた安定した生活を実現する筈の経済、安心を求めた宗教、を見直す必然に迫られたものと受け止めるべきで、これ までと根本的に価値観の異なる生き方や制度に変えなければ、幸せを感じることができないまま破滅に向かい、存続すら覚束なくなると考えるべきであろう。

【日本人が信じてきた確かさの幻想】

1懸命に働き、経済成長を実現して金とモノと便利さを手に入れれば生活が安定し、幸せになれる。

2日本経済をリードする銀行・大企業などは経営基盤が盤石で、そこで働く人は優秀で公共心が高い。

3政府、官庁、地方公共共団体等の「お上」は揺るぎなく、政治家や公務員は無私の公僕である。

4欧米先進国の科学・経済・文化のレベルは高く、日本が追従していけば一流国の仲間入りができる。

筈であった。   ところが・・・

信じてきたことが、全て幻想だったことを、思い知らされて不安になり、うろたえているのが実状である。

 

 

国 を挙げて、資本主義の『どれだけ多く利益を取れるか』という制度を全面的に取り入れ、学歴偏重・経済至上・効率優先を貫いた結果が、取るに足りない僅かな 成績の差で篩にかけられ、生涯収入が大きく左右され、運悪く一度コースから外れると一生浮上することができないような社会になってしまった。

こ の社会はおかしいと気づき始めたが、修正しようとする機運が盛り上がらず、国の財政と年金が破綻に向かっているのに、政治家や官僚は自らの側の温存に目の 色を変え、企業は上部団体を通じて法人税削減圧力をかけ、上位者や高額所得者は所得税が引き上げられるのを避けて消費税増税に向かわせようとしている。

 

『活力を取り戻して経済再生を急げ』の世論と裏腹に、若者向け調査で「自分は草食系男子だと思う」と答えた人が75%を占めたという結果がある。子孫を残し、勝つことを期待されているが、将来に期待が持てない現実に戸惑い「無理せず、迷惑をかけず、最低限の義務は果たして静かに生きよう」と思っているのであろう。

草 食系男子が形成する国が外国との競争で勝てるとは思えず、嘆かわしいという見方もあるが、生物は餌が減少すると自己防衛で繁殖を抑えるものであり、若者の 本能が察知してそのような生き方を選択させているようであり、そのような人が大勢を占めていくという現実を受け止めなければならないのではないか。

【国際情勢と日本の立場】

世界では、最強の軍事力を持ち、生活と産業の要である食糧と資源を戦略的に押さえている米国が、宇宙開発・分子生物学・情報産業で引続き21世紀をリードすることは十分予測される。では、日本は米国に追従していればよいか、という点では大きな疑問がある。それは、白人(コーカソイド)が繰り返して見せてきた人種差別、キリスト教徒の偏狭な優位観、過ちを認めようとしない米国の独善性、のコワさである。

 

 

米国は、大戦末期に日本に対して市民を標的にした空襲、沖縄殺戮、二度の原爆投下という蛮行を行ったが、ベトナム・イラクへの残虐行為、銃所持やローンを野放しにする超自由主義、『金融工学』の無責任、温暖化対策の身勝手など未成熟な面が目立ち、雑多な民族と多様な生物が共存する地球を主導するには危う過ぎる。

何故米国はそうなのか。 それは国としての挫折の経験がないために他人の痛みに思いが及ばず、独りよがりの『正義感』と、歴史の中で抱いてきたガキ大将的な思い上がりがそうさせたのだと思われる。

 

 

一方、長い雌伏の時と、時代が逆転したかのような混乱を招いた文化大革命での遠回りを経て、改革開放政策によって急速な経済発展を遂げた中国に共感と期待を抱く階層もあるが、13億を超えた人口を抱える大国の動向は不気味でもある。 既に周辺国との境界紛争を起した際に見られる強圧的な対応と、ナショナリズム台頭に呼応したかのように国力を誇示しつつ急速に進めている軍事力増強の姿勢に脅威を覚える。

又、 ロシアがソ連時代から持ち越している大量の核に加えて国力回復とともに強大な軍事力を備えてのし上がってくることも予測され、イスラムの国々がアラブ地域 の方向転換を機に米国との対決姿勢を露わにすることも十分想定されるもので、核開発など不穏な動きをする北朝鮮には常にキナ臭い危険を感じること等を含め て、日本の安全保障をどう考えればよいのか、国民が本気で議論する時期にきているのではないか。

 

 

このような情勢下で我が国の進路を的確に定めていく必要があるが、今は外国の動向に左右されることなく、我が国が経済至上主義から脱して、輸出入に頼らない均斉のとれた産業とCapacityの大きい食糧供給力を備え、地道な努力で周辺国との関係改善を図り、世界の人々から信頼され、頼られる国家を目指すことが望まれる。