コラム

11.魚の味:姿と味と価格

2009年06月29日

  館山湾の魚は脂質が少ないものが多く、その後出会った魚〔マグロ・カジキ・カツオ・サワラ・サケマス・カマス・サヨリ・トビウオ・ボラ・スズキ・タチウオ・マダイ・キダイ・クロダイ・メジナ・マダラ・スケトウダラ・ホッケ・ギンダラ・メヌケ・キチジ・キンメダイ・アカムツ・ムツ・ハタハタ・ヒラメ・オヒョウ・カレイ・コチ・ホウボウ・アンコウ・フグ類・サメ類・エイ・マンボウ・イカ類・カニ類・エビ類〕も大てい脂質5%以下(ブロイラー並み)であり、魚介類は全体に脂質が少ないと言えます。

 

    魚介類は旨味成分が多いものや、特有の味を持つものがありますが、下線を引いた魚は脂質が比較的多く(3~5%)焼いた時や煮た時に脂が回ってうまくなります。

 

    他にも地域や季節によってほどよく脂が乗って驚くほどうまくなるものがあり、それらの味が評価されて人気が上昇し、価格に反映されているものが色々あります。

 

    太平洋の秋サンマ(脂質15~20%)より脂質が多いのは、日本近海を北上後に南下するクロマグロ、南緯50度付辺のミナミマグロ、日本海の寒ブリぐらい ですが、これらは魚介類としては例外的に脂質が多く、生産者価格はおよそ4000円/kg以上と高価で、時折その味を楽しむ「ハレの日の食材」として位置 づけられます(霜降り牛肉も同様の食材です)。

 

【12月下旬に入手したブリの成分分析と産地生産者価格調査結果】

①富山の寒ブリ(体長75㎝・10.4kg)脂質=背23%:腹34%:尾20%(3800円/Kg)

②対馬の釣ブリ(体長77㎝・ 9.8kg)脂質=背 8%:腹14%:尾 4%(1350円/kg)

③A県養殖ブリ(体長56㎝・ 4.6kg)脂質=背21%:腹29%:尾 9%( 880円/kg)

 

【素性を伏せた外観評価(全体/部分)・食味アンケート調査結果:主婦対象】

①外観・味ともに評価高く最高点(但しこれを「養殖」と見た人は低い評価であった)。

②外観・味から「天然」と見た人が多く好感度が高かった。味は①に及ばず総合で2位。

③外観・味から「養殖」と見た人や脂が強いと感じる人が多く、総合で最下位。

 

    産地価格は①:②=3:1、①:④≒4:1の格差で、全身/部分(身卸し・刺身)の外観(姿・尾鰭の色・肉色)と味覚評価調査では、消費者は③を的確に「養殖」を言い当てており、食材の基本である「安全と味」の評価が十分得られていないと感じました。

 

    養殖魚は脂質・肉質にも課題があり、①は③より脂質が多いのに食味アンケートで高い評価でしたが、③は食肉の脂肪に似たベトつく感じが敬遠され、身卸し後 に冷蔵庫に保管した場合に、①は1週間後でも色・弾力・味があまり変化せずに刺身で通用しましたが、③は翌日や翌々日には店では刺身で出せない色・弾力・ 味になっていました。

 

    この調査から、魚の価値が価格に如実に反映されていることが判りました。

(続きます)

カテゴリ:魚の味