コラム

31.私の時代認識13

2010年07月03日

 2010年1月からの『時代認識』は半年を経ましたが、このテーマはこの辺で区切りをつけて、
今後どうあるべきかというテーマに移ろうと考えています。『時代認識』をまとめてみます。

【日本人が直面したもの】
 ヒトは『確かなもの』が崩れ去った時に不安になります。 前号で日本人が大きな影響を
受けた事件や事象を拾い出しましたが、一部追加して類別整理します。
(○内数字は、影響を大きく受けた、又は今後大きく影響を受けると思われる順位を示す)

 

〔地球規模の問題=環境・人口・食糧・災害・国際情勢・安全保障・経済〕

①地球異変が疑われる生物種絶滅、人類存続に警鐘を鳴らした人口・食糧問題と温暖化。
②阪神淡路大震災、アジア各地の大地震と津波、異常気象、鳥インフル・口蹄疫の流行。
③東西対立、朝鮮戦争(南北分裂)、北朝鮮の在日家族帰還・拉致事件・核とミサイル。
④日米安全保障条約の成立・安保反対闘争・沖縄基地問題、ベトナム戦争、イラク派兵。
⑤冷戦終結後の米一国支配による不安定な世界情勢と先進国都合のグローバル経済破綻。
⑥中国・インドなどアジア勃興、産業空洞化と輸出不振、経済停滞とデフレ、財政悪化。


〔軍・政冶家・官僚など『上位者』の驕りと誤り〕

(戦時・終戦直後)
①維新と明治の統治から始まった天皇制が統帥権・神国思想で強化されて大戦に至った。
②軍隊が行った中国など国外での虐殺・生体実験を含む捕虜虐待、公安警察の民間弾圧。
③政治家・教師・宗教家・マスコミ等、国民の側にたつべき『上位者』の戦争協力賛美。
④軍神・戦艦大和・ゼロ戦・本土決戦が、連合国の科学・技術力・物量・原爆に敗れた。
⑤戦争責任は『戦犯』でケリ、政軍官学産の何処にも反省なく、戦後平気な顔で再登場。

(戦後~現代)
①総理・大物政治家の犯罪、長過ぎた自民党金権・既得権益政治と操っていた中央省庁。
②警察を含む官僚の犯罪、隠ぺい・保身・権力保持構造、利権保持の天下り先法人乱造。
③人間の卑怯さと怠慢さを繰り返し見せつけた、社会保険庁不正・怠業、組合ヤミ専従。
④生命健康を奪った公害(水俣病・第二水俣病・四日市喘息)と薬害(エイズ・肝炎)。

 

〔日本人の生き方と課題〕

①日本人の多くが『自制・謙虚・思いやり』の生き方を捨てて、カネ至上主義になった。
②食糧と安全保障を外国に頼った脆弱な国家、食・命・将来の不安、飽食と便利な生活。
③イジメ、家庭内暴力、凶悪犯罪、自殺を引き起こす『自分さえよければ症候群』社会。
④少子高齢社会、老後・傷病・障害・介護の負担と不安、就労・収入悪化、年金先細り。
⑤バブル期に企業・銀行を先頭に各種団体・病院・学校法人・宗教法人まで投機に狂奔。
⑥エセ識者が称賛したオウム真理教の怖さ。有能な技術者が簡単に洗脳され殺人を犯す。


【日本人が忘れてはならないもの】
 社会運動家から出発した菅直人氏が首相になりましたが、大切なのはこれからです。
民主党政権になって、よい面もありましたが、鳩山由紀夫氏の『自覚欠如とブレ』、小沢一郎氏
の自民党的体臭と角栄的手法は民主党の評価を下げ続けたと言えます。

 

 参院選で、自民党幹部や候補者が、基地問題・財政赤字・農政無策・官僚依存・格差等を挙げて批判しているのが、不思議で、滑稽でもあり、誰が言っているのか思わず顔を見てしまいます。
「オイオイ、それは君らの自民党政権の遺産だ、知らんふりは卑怯だろう」と言いたくなります。

 

 いつの間にか日本人はこのような「恥知らず」になったのでしょうか。
事 故などで「自分が悪いと思っても絶対に謝らない」が常識となった現在の社会は、1973年第一次オイルショック頃から見え始め、1985年プラザ合意後の バブル経済以降に日本人の生き方が明らかに変わりました。(NHK「日本人の意識調査」などにも傾向が見受けられます)

 

  日本人が直面した21事象の内、地球規模の事象6を除く15の事象に、すべて心の持ち方が強く作用していることに気づきました。 『心に思ったことが現象となる』ことを再認識し、社会を歪めた事件を忘れず、問題を着実に是正することがよい社会を形成する基本だと思います。

 

  特に日本史上最大最悪の事件であり、ケタ違いの犯罪と惨禍を招いた大戦の要因・状況・責任を、日本人は絶対に忘れてはならず、戦後社会を主導した政冶家と 官僚など『上位者』の犯罪や不正によって日本人の心や社会が捻じ曲げられたことも、決して忘れるべきではないと思います。

 

 そして、個々人において大切なことは、「自分だけよければ症候群」と「カネ至上」の生き方から脱却し、もっと本質的な生き方を模索し、社会に無関心にならず、地域においてできることから取組むことが求められていると感じます。

 

【20世紀という時代】
  立花 隆氏は「21世紀 知の挑戦」で、「20世紀ほど人間のあり方が劇的に変化した時代はいまだかってなかったのではないか。『日は昇りまた沈む/天が下新しきことは何もなし と』いう伝道の書が共感をもって読まれた時代もあったが、結局20世紀は伝道の書のアンチテーゼのごとく、あらゆる変化が加速度的に進行し、今もしつつあ る・・・」と述べています。

 

 現代の科学・技術・政治・経済の殆どは20世紀に起きたものと、その結果です。
無論20世紀はその前の時代の続きであることは当然ですが、この1世紀は断然突出しており、その意味でも21世紀をどのような時代にすべきかが、人類最大の課題であると言えます。

 

  19世紀初頭の蒸気機関車・蒸気船によって陸海の交通が急速に発達し、植民地争奪を促し、戦争・略奪・奴隷制・アジア進出に拍車を掛け、19世紀後半に は、米国が国内を安定させた後にアラスカ購入、ハワイ併合、米西・米比戦争で植民地・保護地域を確保して力を備えていきました。

 

  20世紀に入ると、米国が第一次大戦参戦で存在を示して欧州主導だった国際舞台に躍り出て、第二次大戦で、英・ソ・仏・中華民国に物資支援を行い、日本の 真珠湾攻撃を機に連合国側に入り、欧州戦線で独軍を破り、世界初の原爆を完成して広島・長崎に投下して日本を屈服させました。

 

 米国は、太平洋の島々を統治領として治め、沖縄などに基地を作り、豊かな資源・食糧・経済を背景にして核などの軍事力増強と宇宙開発を強力に進めて世界のリーダーに駆け上がりました。
一方、(私が)20世紀の平和に最も功績のあった政治家と考えているゴルバチョフ氏が進めたペレストロイカは、東欧革命を生んで、ソ連自体の崩壊と冷戦終結という結果を見ました。

 

  科学(Science)技術では、蒸気機関に代わる内燃機関実用化、自動車量産、船舶大型・高速化、航空機発達はいずれも20世紀の技術革新によるもの で、世紀後半にはコンピューター・電波望遠鏡・人口衛星・分子生物学(DNA等)+バイオ技術が登場して、ヒトの思考転換が迫られました。

 

 産業・生活・環境分野では、20世紀の人類の活動総量は、19世紀までの十万年の現生人類の活動総量より多く、そのために、CO2を初めとする温室効果ガスによる地球温暖化は、20世紀のヒトの活動によってもたらされたと言われます。

 

 私が最も衝撃を受けたのは、遺伝子解析から『全生物が一つのファミリーを形成している』即ち、『生物はみな、祖先を同じにする兄弟』であるという厳然たる事実が判明したことです。
これは、キリスト教の「神が、人間と人間以外の生物を分けて創造された」とする教えに反し、多くの人が持っている「ヒトはすべての生物を利用することができる」という根拠を揺るがします。

 

  これはコペルニクス地動説「天体の回転について」に匹敵する、社会通念の転換を迫る一大事で、 20世紀に最も影響を与えた人物(と私が考えている)アルベルト・アインシュタインの「相対性理論」が核エネルギーの可能性や宇宙生成解明『ビックバン』 理論等を示唆した事実ともに、20世紀の科学を象徴しています。

 

 これらの20世紀に登場した科学技術は、言わば『神の領域』にまで踏み込むような本質の解明と宇宙から物質・エネルギー・生命・食糧までを包括する遠大で且つ卑近なものです。
だからこそ、地球の運命を委ねられている人類には「自制・謙虚・思いやり」が一層必要であると思えてなりません。 (続きます)

カテゴリ:私の時代認識