コラム

29.私の時代認識11

2010年05月25日

【幸福度】

 「今幸せですか。今の社会を、子や孫に引き継げますか」⇒あなたは「ハイ」と答えられますか。

 様々な機関や研究者が『幸福度』『幸福度指数』『平和指数』等の調査発表をしています。

 

 全米科学財団による97ケ国・地域 『幸福度・生活満足度』2008年アンケート結果

上位

1位デンマーク・プエルトリコ・コロンビア・アイスランド・アイルランド・スイス・オランダ・カナダ・オーストリア・・・15位ニュージーランド・16位米国・20位アルゼンチン・25位オーストラリア・27位タイ・30位ブラジルなど、

中位

35位ベトナム・36~45位EU主要国(ドイツ・フランス・スペイン・イタリア)・43位日本・48位台湾・54位中国・・・62位韓国・64位イランなど、

下位 69位インド・88位ロシア・イラク・ウクライナ・アルメニア・97位ジンバブエ。

 

 英国新経済財団による約140ケ国の幸福度指数(生活満足度・寿命・環境)2009年ランク

上位

1~10位にコスタリカ・ドミニカ・ジャマイカ・グアテマラ・コロンビア・キューバ・エルサルバドル・ブラジルなど中南米の国が続き、5位ベトナム・12位エジプト・14位フィリピン・15位アルゼンチン・20位中国・23位メキシコなど、

中位

40~70位にEU諸国・75位日本・90位カナダ・100位オーストラリアなど、

下位 100~120位にロシア・米国・・130位以下にアフリカ諸国(最下位ジンバブエ)。

 

 英国研究機関EIUによる144ケ国の平和度指数「Global Peace Index 2009」

上位

ニュージランド・デンマーク・ノルウェー・アイスランド・オーストリア・スウェーデン・日本(7位)・カナダ・フィンランド・スロベニア・クロアチア・アイルランド・ドイツ・スイス・オーストラリア・シンガポール・フランス・英国・イタリアなど、

中位

ベトナム・インドネシア・中国(74位)・米国(83位)・ブラジル・イランなど、

下位 北朝鮮・ロシア・パキスタン・コンゴ・スーダン・ソマリア・アフガニスタン・イラク。

 

 幸福度は主観によるために設定条件で異なりますが、上記3つの結果には共通点があります。

 GDP(経済指標)・寿命(=GDPと正相関)と関係ありますが、絶対的要素ではなく、

①豊かな自然環境(節度ある暮らし)、②民主的社会、③安全な社会、④成熟した社会(他人に配慮できる社会)、⑤武力を行使しない国、が国民の幸せや平和に結びつくようです。

 

 私は、カナダ・オーストラリア等の広い土地を持ち、人口が少ない国が上位と予想しましたが、ヒトは良好な人間関係が得られる社会においてこそ、生きがいや安心感が得られるようです。

 

 ヒトは過去よりも状況や条件が悪化した時に不安感や不満を持ちます。

 又、周囲の現象や事件に理解が追い付かない時に得体の知れない怖さを感じ、慄きます。

 日本は急激な経済成長がもたらした便利すぎる生活と、飽くなき欲望と引き換えに、

 大切な『何か』を失ったと感じ始め、混沌としてきた社会に怖れを抱いていると思います。

 

【大戦~戦後~現代の世相と事件】

 日本人が失った『何か』を知るために年代別世相と重大事件(社会に大きな影響を与えた事象・事故・被告が死刑かそれに準じた判決事犯)を調べてみました。 ( )内1945~49年100の時の10年換算指数

〔世相・事件は「Wikipedia」等を参考に、事件件数は「事件史探求」等を参考にしました。〕

◎世界的な事件・問題、①政・官・学が関与、②社会的事件、③事故、④殺人(件数の約90%)

年代 (元号)

世 相

事件の傾向、 重大事件総数/
金品絡み件数 ○特筆事件

第二次大戦1939~45年

(S14~20)

1942年ミッドウェイ敗戦以後は虚報の『大本営発表』を信じ、勝利を願い、物と食料不足に耐えた。

◎この戦争は日本史上最大の事件。軍部・兵士などの犯罪は最悪であったが、戦時中のために不問扱い多数

①捕虜生体解剖事件:読むと吐き気を催す狂気の犯罪

1945~49年

(S20~24)

5年間

戦争遂行と、迎合したことを総括しないまま新しい時代に入った。

制度混乱と社会規範が緩む中で

誰もが生きることに夢中だった。

金品や食料目的の犯罪が多い。 40(100)/27(100)

帝銀(冤罪)三鷹事件(公安絡み)等の再審事件が多い

①極東国際軍事裁判:A級戦犯(指導者)7名絞首刑他

①昭和電工事件:芦田首相・福田主計局長他起訴⇒無罪

1950~59年

(S25~34)

冷戦構造の固定化と朝鮮戦争。経済復興を最優先に食糧・物資の生産増大と輸出増を図った。

事件多く捏造・公安事件増加。 102(128)/36(70)

①造船疑獄:佐藤栄作幹事長指揮権発動で逮捕を免れる

②水俣病:企業・行政の放置で拡大、被害者救済が遅延

1960~69年

(S35~44)

安保条約発効と反対闘争拡大。

高度経済成長で三種の神器など便利さと快適さを求め続けた。

事故と公害病で社会不安増大。 90(113)/38(70)

③航空機墜落:羽田沖・羽田空港・富士山麓・松山沖

③三井炭鉱爆発:死者458名と重症者(補償交渉30年)

1970~79年

(S45~54)

ベトナム(冷戦代理)戦争終結、

死者800万人・米軍の深い爪痕。総理府調査「物質的豊かさより心のゆとりが欲しい」割合が41%。

江川獲得で巨人『空白の一日』。

『総理の犯罪』が日本を激震。 80(100)/34(63)

①ロッキード事件:田中角栄元首相他政財界の大物逮捕

①制服警官の女子大生殺害:勤務中に暴行殺害

②赤軍:浅間山荘・テルアビブ・ヨド号・ダッカ事件

④開成高校生殺人:家庭内暴力の息子を父親が絞殺

1980~89年

(S55~H1)

プラザ合意⇒バブル⇒地価高騰

「カネ儲け」が市民関心事になり

OA化とクルマ個人所有が進み、

自制・謙虚・互譲が失われた。

校内暴力・いじめが頻発。 102(128)/43(80)

①リクルート:政官財に未公開株譲渡、大物は逃げ切る

①大蔵省接待:不正融資の銀行に大蔵官僚が便宜供与

②中野富士見中いじめ自殺:教諭加担の「葬式ごっこ」

1990~99年

(H2~11)

バブル崩壊⇒経済停滞・デフレ。

地球環境が緊急且つ最大課題。

国民を失望させた政治家の『罪』

人間不信を強めた官・学の犯罪。

世紀末に異様な宗教団体現れ、

中学生イジメ自殺・少年犯罪・凶悪殺人が急増、不安感広がる。

事件最多, 凶悪事件相次ぐ。 107(134)/43(80)

◎第3回地球温暖化防止京都会議:京都議定書の議決

①東京佐川急便事件と金丸 信脱税:政治家カネに踊る

①厚生次官収賄と薬害エイズ:官僚・学者の驕りが起した

②オウム真理教:地下鉄サリンなど狂気か本気か疑問

②西尾中学いじめ自殺:優しい被害少年の遺書が哀しい

④少年による連続リンチ殺人:最高裁が異例の死刑判決

2000~07年

(H12~19)

8年間

小泉劇場アジ演説で選挙に大勝郵政民営化・弱者切捨て・格差拡大・自衛隊派遣・靖国参拝など。

官僚や警察の事件が頻発。

63( 98)/17(39)

①社会保険庁:不正・ずさんな業務実態が次々発覚した

②名古屋中学生5千万円恐喝:殺害まで計画していた

 

 

【日本人が失ったもの】

〔戦争で失ったもの〕

  戦地兵士・軍属230万人と、終戦間際の沖縄侵攻・空襲・原爆で市民80万人が犠牲になり、怪我や病気をした人はその数倍で、身近な人が死亡や傷病を負っ た影響を受けた人、生活・仕事・財産を失った人は、さらにその数倍に及び、国民の大半が深刻な打撃や何らかの損害を受けました。

 

 戦争は軍部や一部の人間が行ったものではなく、行政・企業・団体・自治会・マスコミが率先して大東亜共栄圏構想に加担し、大学・学校、寺院・教会、芸術・芸能界も同調して、又一般人も、国家総動員法、治安維持法の締め付けによって、心ならずも迎合して協力しました。

 

  特に、国をリードする立場にある『上位者』政治家・学者・教育者・宗教家・作家の多くが戦争に異を唱えず、本来の使命を放棄し、率先して戦争に協力したこ とを国民は見ていましたが、終戦後にこれら『上位者』が反省しなかったことが、不信感を決定的にしたものと考えられます。

 

 神国不滅を信じた日本人にとって、拠るべき国家の崩壊で茫然自失状態になった処へ、連合軍進駐とGHQ統治が行われ、神と崇めた天皇が『鬼畜米英』代表として乗り込んできたJHQ最高司令官マッカーサーと並んだ写真を見た時に、国民は大きな衝撃を受けました。

 

〔戦後処理で失ったもの〕

 満州や朝鮮等からの引揚では、情報をつかんだ軍関係者と家族は『自制心』をかなぐり捨て、民間人を放置して我先に帰国しており、民を守る筈の軍や警察の裏切りが人心に深く刻まれました。

 

 遅れて帰国を目指した民間人は、中国人や朝鮮人の復讐やソ連兵の暴虐に遭い、家族の死や病人・子どもを捨てるという悲惨な逃避行を経てやっとの思いで故国に辿りつきましたが、今度は生活の労苦に加えて「引揚者」への差別やいじめを受けたと言われます。

 

 せめて、民間人に状況を伝えるのが『上位者』(この場合軍関係者や警察)の最低限の務めですが「彼らを残した方が自分たちの助かる可能性が高くなる」という卑怯な気持が生じたのでしょう。

(このように軍が民間人を見捨てた犯罪的行為は沖縄でも多く、悲惨な結果を見ました。)

 

  終戦間際の1945年8月9日にソ連が日本に宣戦布告を行い、満州・朝鮮半島北部に侵攻し、終戦の翌8月16日に樺太・千島を占領して合計約110万人の 兵士と民間人をシベリア各地の収容所に送り、酷寒の下で過酷な強制労働を強いて、飢え・傷病・絶望によって死に追いやりました。

 

 国が送った社会党視察団は抑留者の実態を把握しましたが、党の思想宣伝の都合からソ連側の行為を伏せるために抑留者から託された手紙を握りつぶし、国会で抑留者は十分な待遇を受けていると虚偽報告をしています。このため抑留者の帰国が遅れたとされています。

 

 ここでも弱者の運命を左右する『上位者』による『犯罪的』言動が、対応次第で助かった筈の『犠牲者』をあたら増やしてしまった結果となっています。

 後で抑留者が帰国して事実が判明した時、本人や家族はどれだけ悔しい思いをしたでしょうか。

 

  抑留犠牲者は34万人を超えると言われ、国に求めた賠償の訴えは終戦から64年も経た2009年「国の遺棄行為は認められない」判決で棄却され、2010 年『シベリア特措法』(救済策)が参議院を通過しましたが、民を守るべき国家がいかに無責任であるかを思い知らされています。

 

 立場上の『上位者』が自制心を以て行動しないと、その卑怯な行為によって受けた傷はいつまでも消えにくく、風で燃え出す残り火のように、機会があれば何らかの形で復讐を遂げるケースや、上位者になった時に下位の者に行う事例が見られ、それが連鎖となって社会が荒みます。

 今、頻発している学校・団体・企業のイジメはそのような背景があるように思えてなりません。

 

  刑法37条(緊急避難)には「業務上特別の義務を負うものは立場上の務めを果たす」と定められ、機長や船長の責任を明確に示していますが、広義には政治 家・官僚・警察・教師・企業や団体の上司など、業務上その立場にある『上位者』の行動倫理が問われており、私たちも普段からの言動において自制を心掛ける 必要があると思います。

 

 日本の戦争犯罪を裁いたのが1948年の極東国際軍事裁判ですが、この裁判での戦争に至った経緯解明や責任追及は、国民が納得できるものであったのでしょうか。(続きます)

 

予告

〔政治家・官僚の犯罪・不正で失ったもの〕

〔経済優先の社会で失ったもの〕

〔スポーツに期待するもの・失ったもの〕

カテゴリ:私の時代認識