コラム

1.魚の味

2009年05月19日

  「魚の味」と言っても色々で、淡白なものからトロのように濃厚なものまであり、イカ、タコ、エビ、カニ、さらに貝やウニ、ナマコなども「魚介類」としてひとくくりにされて広い意味で同じ仲間として扱われるので、以下ここではまとめて魚介類を「魚」とします。

 

   魚と言うと、日本人の多くがまず思いつくのが「マグロ」ではないでしょうか。

   たしかに、マグロの腹身部分の脂肪を多く含んだトロは、『うまい』と感じます。

   ところが、江戸時代でも最も庶民文化が発達した元禄の頃の、舌のこえた江戸っ子は、アブ(脂身の意:腹身=トロ)を下衆(げす)が食うモノとして見下げていたようです。

 

   では、江戸っ子はトロの『旨さ』を知らなかったのでしょうか。

   私は、トロの味はある程度知った上で、それを賞味しなかったのだと思っています。

   そのくせ、「目には青葉 山時鳥 初松魚(カツオ)」という有名な俳句の、脂が乗っていない初夏の上りカツオは「女房を質に入れても食わなけりゃ江戸っ子の面子が立たねエ」などと粋がって賞味していたようです(実際にかなりの高級魚だったようです)。

   なぜでしょうか。

   この辺に、魚や食べ物に対する好みや評価の原点があるように思われます。

(続きます…)

カテゴリ:魚の味