コラム

5.魚の味:健康な身体を作るために

2009年05月28日

   先に「旨味の追求が人類の存続に関わる重要な文化・・」と記しましたが『食文化』という言葉が軽く使われていることに対する疑問と味覚の重要性を指摘したものです。

   油脂の『脂味』に慣れると(カロリーが高いために『うまい』と感じる脳の指令で)油脂を欲するようになり、脂肪の多い肉、『脂味』に甘さが加わっているクリーム(やクリーム入り菓子)をよく食べて益々『脂味』嗜好が進んで肥満や病気につながるようです。

   その対策として、ダシの工夫や食材を活かす料理や加工で『旨味』を引き出し、『脂味』や甘さに向かう欲求を抑えることによって健全な食生活を守ることができますが、そのようなことを家庭や社会で積極的に進めることが本当の『食文化』と言えると思います。

 

   「マクガバンレポート」で三大栄養素であるP(タンパク質):F(脂肪):C(炭水化物)のバランス=「PFCバランス」が健康に欠かせないと報告されて おり、理想的な比率は(国、時代などで見方が変わりますが)、熱量比で12~13:20~25:62~68(重量比でおよそ15:10:75)がよいと言 われています。

 

   アメリカはF(脂肪)熱量比が1980年36%、2003年37%と「マクガバンレポート」に背いた形で推移し、日本の基準(BMI値25以上)で見ると、成人男子の肥満の割合は2003年76%で4人に3人が該当する危機的状況です(因みにフランスは46%)。

   日本は農水省統計でF熱量比が1980年25.5%で理想値(中央値)22.5%の1.1倍でしたが、2005年28.9%と1.3倍で、(その結果と思 われますが)2006年の成人男子の肥満者の割合は28%、子供の肥満(体重による基準)は6才5%・12才12%で、いずれも1980年の1.5倍前後 となり、F熱量比の増大に追随するように急激に肥満が増えています。

 

   食肉中の脂肪比率は品種・部分・地域で異なり、日本では特に脂肪が多い牛肉が好まれ、

   霜降り25~40%・赤身10~15%前後で、それだけを食べるとF熱量比理想値を超えます。豚肉は肩10~14%・ヒレ6~8%前後、ブロイラーは腿肉4%(皮を除く)・胸肉2%・

ささ身1%前後で、いずれも牛肉と比べて脂肪が少ない食材です。

 

   畜産用飼料は、オーストラリア等では牛肉の脂肪が敬遠されるので牧草が主体ですが、食肉の脂肪を増やす目的等で穀物飼料が増えており(生産量に対して牛肉 8~11倍: 豚肉5~8倍: 鶏3~4倍を投与)、穀物需要が増えて価格高騰が起き、途上国や貧しい人々が飢餓や栄養不足を強いられる構図があります。

   一方では、脂肪摂取を抑える目的で鶏肉や魚介類が選択される動きがあり、国内外とも健康増進に効果があるDHA・EHPを多く含む魚や各種の海藻が注目され、魚介藻類の積極的な摂取を図る人が増えています。(続きます)

カテゴリ:魚の味