コラム

4.魚の味:大は小を兼ねない

2009年05月26日

   『大は小を兼ねる』の諺があり、子供のケンカ、草相撲、草野球などで大抵大きい方が有利だったことや、戦時の徴兵検査は体格を主として甲・乙・丙にランク づけされ、敗戦後に大柄な兵隊揃いの進駐軍に統治されたこと、欧米の人と自分を比較した印象などで、『大きい方が優れている』と思いがちです。

 

   平均寿命が世界一になり、戦後取り入れたアメリカ的な食事が正しかったように唱える向きもありますが、アメリカは以前から医療費増大が国の財政を圧迫し、 上院委員会が1977年に膨大な「マクガバンレポート」を作成して心臓病やガンなどの発生率を高める肉中心の食生活に警告を発して具体的な改善策を勧告し ました。今、日本より平均寿命が5才短く世界ランク30位前後で、GDP2位の国としてはかなり低い水準にあります。

 

   余談ですが、恐竜、マンモスなど大型化した動物はやがて滅びるとの見方があり、GMなどビッグスリーの窮状は、クルマという『動物』の大型化の経済性・資源消費・環境負荷の影響を見誤ったことと巨大企業の動きの鈍さが招いたと指摘されています。

 

   大相撲5月場所で幕内最軽量の日馬富士が優勝しましたが、既に初代貴ノ花や千代の富士、ボクシングヘビー級のモハメド・アリ、野球のイチローが、敏捷性・瞬発力・しなやかさを備えた身体で旧来の闘い方を覆し、現代に備えるべき身体能力を示唆しています。

 

   一般に体力は、どれだけ重いものを持ち上げられるかという『重さ』で評価されますが、私は各地の漁場づくりを主導し、1俵60kgの土嚢を、延べ数千から 数万俵(数百~数千トン)を陸から船に積み、船から海中に投下する作業の指揮を執り、連日漁師に交じって土嚢を担いだ経験から、実社会では持久力こそ必要 不可欠な能力と考えています。

 

   江戸時代に八丁艪の手押し舟が初鰹を運びましたが、割合近い三崎から江戸まで直線で約15里(60km)あり、順次交替で艪を漕いで4ノット(時速 7.4km)で走ったとして9時間かかる計算です。私は水産高校時代に和船の艪やカッターのオールを漕いでいたので漕ぎ手の体力を推し量ることができます が、当時の舟乗りたちは超人的な持久力を備えており、その力をコメと魚が支えていたことがあらためて注目されます。

 

   和食に加えて多様な食を取り入れて栄養バランスがとれたことが寿命の伸びにつながったと考えられ、欧米や中国などで積極的に魚介藻類を摂取する動きが見られます。

    日本人は飽食と油脂の多い食事を止めて、コメ・豆・野菜・魚・海藻をもっと食べて持久力を備えた体づくりを目指すとともに、食糧確保と食の安全のために自給率向上を強く推進すべきだと思います。

(続きます)

カテゴリ:魚の味