コラム

3.魚の味:『旨味』と『脂味』

2009年05月21日

   筆者は戦後の1949年に東京の小学校に入学して、給食で飲んだミルク(:脱脂乳)が好きになり、この時の『味の刷り込み』のためか今も牛乳が好きです が、占領下の小学校の給食にパン・バター・洋風の副食を出すようにしたのは、アメリカの食糧政策を日本に持ち込むためのGHQの布石(もっと言えば陰謀) であるという説があります。

 

   為政者は民衆の知らぬ内に重要な政策を忍ばせるもので、私の場合は牛乳だけでしたが、

   食糧全体に外国の思惑が及んでいると思うと良い気持はしません。アメリカがエネルギーと並ぶ国家戦略として大規模な農業と畜産を奨励し、穀物メジャーを育 て、食糧の生産と分配において一貫した政策を押し進めている姿勢を見ると、アメリカの政策に唯々諾々と追随している、人のよい日本人の食糧と健康のことが心配になってきます。

 

   小学5年の時に映画館で見た西部劇のジョンウェインの格好よさに目を見張りました。

   当時の日本人の体格はアメリカ人に比べてかなり見劣りし、子供はヤセばかりで、我が家は魚肉ソーセージ1本の他はジャガイモだけのカレーが最高のご馳走で、強い体が作れる(と思えた)ステーキなどをいつかは喰ってみたいと思っていました。

 

   そして今、日本は食糧自給率が40%以下なのに飽食を続けていますが、アメリカのテレビニュースに映る人々を見ると、日本以上に肥満が多いのが気になります。

   先進国で栄養過多や飽食、アフリカなどでは飢餓や栄養不足に陥っている子供の増加、アメリカのドライな食糧政策とグローバル化という名の格差拡大、追従してきた日本の食糧問題など政策の危うさ、『脂味』に慣らされた味覚、に不条理とこわさを感じます。

 

   様々な病気を招くと言われる食肉の動物性脂肪や、菓子やケーキに使われる植物性油脂などの油脂には『脂味のうまさ』がありますが、これがクセ者で、油脂は カロリーが高いために摂取した時に細胞が『うまい』と感じる仕組みがあり、多く摂取するほど脳が益々それを摂るように指示を出し、理性で止めることができ なくなる作用があるようです。

   油脂を『うまい』と感じるのは太古から受け継いできた原始的な感覚で、言わば動物の本能によるものであり、洗練された味わい(食文化)ではないようです。

 

   油脂をふんだんに使う食の欧米化による体格の向上と引き換えに、もっと大切な、適度な食物摂取量+栄養バランス=健康、の基本が損なわれているように思います。

   日本の科学者が発見した『旨味』成分は、肉、魚などのタンパク質の構成要素であるアミノ酸や核酸中のうま味物質や、コンブや野菜のうまみ物質であるグルタ ミン酸などで、料理のうまさはこれらの味を引き出したり、組み合わせたりして作られますが、『旨味』の追求こそ人類の存続にも関わる重要な文化ではないか と思われます。

(続きます)

カテゴリ:魚の味